コウが交通事故に遭ったのは、昨年の10月中旬の台風の日なので、それから5ヶ月がすぎました。ろっ骨がボッキリ脱臼したので、それを戻すための手術の際に剃られた背中の毛もだいぶ伸びてきました。後ろ足と右前足は麻痺したままで、これは治りそうにありませんが、体幹がしっかりしてきたのか、車椅子に乗っていられる時間が長くなりました。
肉球を触っても全く反応しなかった後ろ足は、肉球を触ってマッサージしたり、クリップを挟んで刺激を与えたりすることで反応するようになり、足を吊ってあげると、自転車漕ぎのようにプルプルと動いています。また、突っ張る力も出てきて、妙に踏ん張ったりしています。
しかし、この動きは、「反応」であって、自分の意思で動かしているものではなさそうです。
車椅子に乗った時は、唯一残った左前足をケンケンして前進することができますが、それは、私が車椅子に付いているリードを引っ張って弾みをつけて上げたり、水が飲みたい時や、おじいちゃんとおばあちゃんが遊びに来てくれた時など、思わず力が出る時に前進することができるのであって、普通に歩くように前に踏み出すことはまだできません。後ろ足の使い方をすっかり忘れてしまっていて、それが自分でももどかしいのか、「前にいけないよ〜」と唸ったりもします。
外がやっぱり好きなので、車椅子に乗せたら外のデッキに出していますが、そこで歩かずに外を眺めています。道ゆく人を眺めて、知っている人や犬が通るのを待っているようです。
知っている犬が通るとワンワン吠えますが、すぐに去ってしまうので、キュンキュン寂しそうな鳴き声に変わります。
人が来ても同じです。初めて来た人にワンワン吠えても、帰り際になるとキュンキュン鳴いたりします。
犬や人とふれあうことは苦手。だけど寂しい。
普段は、一日中、ほぼ笑顔を見せません。
無邪気でのんきなワンコではないのです。
とてもセンシティブです。
排泄もおそらく自分ではコントロールできないので、それに対する気持ち悪さもあるのでしょう。あるいは、人間には思いもよらないイラつきがあるのかもしれません。
最近また、尿の匂いがキツくなってきました。
匂いがキツくなると、おしっこをなめたくなってしまうようです。
下半身麻痺していて排泄の感覚はないかもしれないけれど、匂いには敏感なので、おしっこを甘い美味しい飲み物のように感じているのかもしれません。
圧迫排尿をして、たくさん尿が出た時、ペロペロ舌を動かします。
オムツを替える時、オムツを舐めようともします。
先日は、夜中にオムツをずらして舐めていたので、オムツ替えしようとしたら、阻止する気満々でした。気になる不思議な飲み物を私に奪われまいと必死になるのかもしれません。
満月の月明かりの中で、ネコの額ほどの小さな庭の芝生の上で車椅子を引っ張って草の匂いを嗅がせました。
また少し雨が降ったのか、芝が濡れていました。
部屋に戻って、おやつで誘って歩くトレーニングを少し。
そろそろ寝たいかなと思ってマナーベルトを付けるとまた外に行きたがる。
そしてまた外に出して、今度はしばらく放っておく。
また部屋に入れてやっとベッドへ。
今日も夜中に「水が飲めない〜」と泣き叫ぶのでしょうか。
コウにしてみれば、長〜い一日なのでしょうね。
私にとっても、一日を振り返ると、コウに対応した時間それぞれは短いですが、仕事をしながらいろいろやって、長い一日です。
しかし、コウを車椅子に乗せる時、ベッドに寝かす時、コウを抱き上げてコウの匂いを嗅ぐ時、幸せな気分になれるのです。